Critique of Games メモと寸評

http://www.critiqueofgames.net の人のブログです。あんまり更新しません。

あとで読む:Jin Ha Leeさんの

メモ

 

ジャンル分類はなぜ失敗するか

Why Video Game Genres Fail: A Classificatory Analysis

http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1555412015591900

 

追加コンテンツに関するはなし

The Problem of "Additional Content" in Video Games

 

ゲームのメタデータについてのはなし

onlinelibrary.wiley.com

井上連載「中心をもたない、現象としてのゲームについて」を読む方法

 連載第一回目はこちらです。

〈ゲーム〉をめぐるいくつかの不連続な問(井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』第1回) | PLANETS/第二次惑星開発委員会

 

 なお、現在、四つのサイトから配信されています。

 

1.PLANETS公式ページ経由で

wakusei2nd.com


 

2.ニコニコチャンネル経由で 

ch.nicovideo.jp

 

 3.note経由で

https://note.mu/hashtag/%E4%B8%AD%E5%BF%83%E3%82%92%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%AA%E3%81%84%E7%8F%BE%E8%B1%A1%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6?f=new

 

 4.夜間飛行

 

yakan-hiko.com

 

 

 いずれも有料ですが、購入可能な記事単位、購読方法もそれぞれ違っているようで、著者本人も細かいところがわかっていませんが…、お好きな方法でご購読いただければ幸いです。

 私がいまのところ認識している限りだと

 

1.基本的に各話購入をされたい場合は、noteとかで540円で買っていただくのがベターで、

2.PLANETSの他の連載の購読をふくめて、今後読んでいただく場合はPLANETSに月々料金を払ってメルマガに加入していただくのがよいのではないかと思います。PLANETSのメルマガに加入した場合、加入する前のバックナンバーはおそらく読めない?と思います。

 

 

 

中川大地『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』2016,早川書房

  私も最後のほうに、ちょろっとだけお手伝いさせていただいた中川さんの『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』が刊行されました。6月に小山先生の本が出たばかりで、またしても日本ゲームの通史の本が出るというのはすばらしいことだと思います。

現代ゲーム全史  文明の遊戯史観から

現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から

 

  さて、中川本のよいポイントを書いておきたいと思います。

 

  1. とにかく分厚い。600ページ弱あります。ゲーム系の書籍の中では、『ポケモン/ストーリー』の544ページが知る限り、ゲーム最厚書籍だったように記憶しておりますが、本書はそれを32ページ上回っております。(攻略本は除く)
  2. 具体的なゲームタイトルについての記述が厚い:600以上のタイトルについて触れているようで、海外の著者によるものだと、『死ぬまでにやりたいゲーム1001』という本がありますが、国内ゲームを中心にしたものとしては、これだけのタイトル数を載せたということはそれ自体が重要な仕事かと思います。
  3. さて、以上2点は、即物的な感じの話ですが、もう少し内容面について触れると、1958年の『Tennis for Two』以前の「コンピュータ・ゲーム」の歴史について手厚く触れている点は重要だと思います。何を持って、「ゲームマシン」や「コンピュータ・ゲーム」の起源とするか、という点については議論のあるところではありますが、『Tennis for Two』以前の状況をどう捉えるか、という議論を日本語の書籍でやっているものは、ごく単純にあまりない状況なので貴重な議論だと思います。
  4. また、同様に、ゲームサイド誌などを除くと、国内ではあまり触れられることの多くなかったPLATO SYSTEM上でのゲームについて言及しているという点も貴重だと思います。
  5. そして、本書のもっとも重要な点は、ゲーム史を通じて、社会的/思想的なビジョンを示そうという試みを行っていることです。特に序章・最終章のあたりですね。もっとも、本書で中川さんが展開しているような「西洋 vs 東洋」といった典型的な対立軸にしてしまうと、もっと西洋遊戯史みたいなとこ含めて考え始めるといろいろとツッコミは入りますね、という話とかはさせていただいているのですが、いずれにせよこういったビジョンを示そうとしていること自体がまず重要な点だと思います。

 細かな事実関係については、小山本と同じく、おそらく来月、再来月あたりに色々な指摘が、色々な方からやってくるであろうと思います。なので、中川さんは来月、再来月あたりは、賞賛とともに、そこらへんの指摘をうけつつ、ガンバるというメンタルが要請される数ヶ月になるかと思いますが、本当におつかれさまでした!

Replaying Japan 2016@ライプツィヒ大学で喋ってきたよ

 ドイツから戻ってきたら、持病が少し悪化して、通常時の4割ぐらいのパフォーマンスになっております。井上です。

 というわけで、8月15日~17日にかけて第4回国際日本ゲーム研究カンファレンス(Replaying Japan 2016)で下記のような内容をしゃべってきました。

 

  • やったこと:日本でしか有名でない(可能性が高い)ゲームと、英語圏でしか有名でない(可能性が高い)ゲームを、いろいろとデータを引っ張りあわせて、調べたよ。あと、日本語圏と、英語圏でほぼ均等に有名なゲームも調べたよ。
  • 国内でしか有名でないゲームの特徴:バンダイとかチュンソフトとかが多め。時期的には90年代中盤のゲーム。ジャンル的には、AVGRPG
  • 英語圏でしか有名でないゲームの特徴:80年前後のアタリVCS系のゲームとかが国内のゲーム史関連の話の中で言及されることが少なめ。ジャンル的にはACT,STG
  • 日本語圏と、英語圏でほぼ均等に有名なゲーム:圧倒的に任天堂。マリオ、ゼルダドンキーコングポケモンWii FitWii Sports。あとは、MGSとか、パックマンとか。
  • 国際的にゲームの動向を追っているというような人でも、けっこうそれぞれの地域のローカルヒストリーの特徴みたいなことをつかむのは難しくて、言語の問題もあるし、同時代性みたいな問題もあって、そこにはある程度、壁がある。基礎資料として、こういったデータを整備、共有していくことは重要だと考えています。
  • 今回ピックアップしたデータは、まだ不完全なところがあり、Portalが英語圏でしか有名でないものなっていたり、Ingressが日本語圏でしか有名でないものとしてピックアップされてしまっているので、より元データをきちんと整備する必要があります。データのクオリティがある程度以上になったら、データを公開しようと思います。

 

 Replaying Japan 2016のそれぞれの発表の概要は、アルバータ大学のGeoffrey Rockwell先生がまとめてらっしゃいますので、ほかの方の発表も含めて見たい方は下記をごらんください

philosophi.ca : Replaying Japan 2016

 

 なお、Replaying Japan 2016のプログラムは下記を参照

http://home.uni-leipzig.de/jgames/replayingjapan2016/program/

 

 

松永「ARとマジックサークル」へのなるべく短いコメント

To:松永エントリ

CC:公開

 

 松永さんの下記エントリへのコメント。

9bit.99ing.net

 長くかくとすごく時間くいそうなので、なるべく、さらっとにコメントしておくよ

 

 >ARゲームはふつう位置ゲームでもある。

 

 「明らかにこれはARゲームではあるが、位置ゲーとはいいづらい」ものとしてEye of Judgement(PS3)を挙げます。

 

Eye of Judgement( PS3 ) - YouTube

 

 また、ゲーム機との相対的位置情報を(おそらく)用いているが、GPSを使っていないという意味では、次の例は扱いが微妙な範疇かと思います

『ポケモンARサーチャー』の遊び方|『ポケモンARサーチャー』公式サイト

 

>現実の事態に対してゲーム内の意味の層がのっかるというのは、ほとんどすべてのゲーム(少なくとも、構成的規則を持つゲーム)に言える

  

 これは基本的には同意します

 

 ただし、次の点が論点になるかと

 

A.ゲームの参加者と非参加者が見分けにくい点

 →もっとも、アナログゲームでも、リアルの街を使った鬼ごっこなどは同様の問題がある)

 

B.ゲームプレイヤーの網膜に、物理的に見えている風景が、物理的に近接する人から見えている風景と違っているということ

 →これも、手札を隠すようなトランプであれば近いとは言える。また、VRのゲームであれば、これはより強く発生する。

 

C.A,Bが同時に成立しているということ

 →これはすぐには位置ゲー以前のゲームだと、パッと思いつかない。

 

 >『Pokémon Go』がなにかしらそういう「侵食」に見えるのだとしたら、それは参加している人が相対的に多いという程度の問題だろう。

 

 この点はあんまり同意しないです。

 ARの問題というか、GPSの問題。GPSとゲーム上の要素を紐付けていることの問題が大きいと思うので。

 ワールドカップ時にサッカーファンが通りで騒ぐのは、偶発的な事態だけど、IngressやポケモンGOで、ポケストップ/ジム/ルアーを設置することは、ゲームの開発者や参加者らによって、ゲームのメカニクスとして意図的にコントロールされた要素なので、けっこうそこは違ってくるかな、と。

 意図的にコントロールされた要素であるからこそ、JRや裁判所や神社が、「うちをポケストップから除外しなさい」という要請をナイアンテックに出すという事態が発生するわけで。そこはマジックサークル(二次的現実)の内側のものに対して一次的現実からの直接的な介入が可能になっており、二次的現実/一次的現実の間のインタラクションをしやすいというか、ある程度まで、そうせざるを得ない設計になっているという点で既存のゲームとは違った構造をもっていると思います。

 「現実を侵食する」という表現を使うかどうかは、好みの問題だと思いますけど。

 

 あと、これは松永エントリに関係ないけど、ゲーム的な話というか、サイバースペースのガバナンスみたいな文脈だと、「実空間と紐付いた電子空間に関わる権利」のような新たな権利の問題を多くの人に可視化させるという社会的機能を、ポケモンGOが担ったというのはけっこうでかいと思っていて、現実空間に紐付いた新たなレイヤーが社会に浸透するたびに、新しい制度の問題ができてくるわけで、そういうところはすげーなと思っています。もっとも、可視化自体はほんとは、ポケモンGO以前のIngressとかFoursquareとかでも起こっていたけれども、みんな気づいたよね、というのは、ポケモンGOのユーザー数のおかげだとは思うので、ここらへんは参加している人数の相対的な多さの問題があるのは確かかな、と。

 

 今週中ぐらいにはなんか書きたいが、論点おおすぐる感じがして、ヤバイな、という感じだけがしている…

井上明人/2015年度・業績リスト

2015年度やったこと、はっときます。

公開できないものや、チームで関わったプロジェクト等についてはけっこう省いています。

 

 

■書いたもの

1,井上明人,「中心をもたない、現象としてのゲームについて」,2015年10月よりPLANETS/第二次惑星開発委員会にて連載中

2,井上明人,「Game Reviewers can’t notice innovation」,2015年5月,Replaying Japan 第3回大会 Proceedings,pp.112~114,査読有,
3,井上明人,「ゲームレビューのイノベーション評価能力について」,2015年8月,DiGRA Japan2015年 夏季大会 予稿集,pp.92~94,査読有,
4,井上明人福田一史、梁宇熹、辛注衡、向江駿佑、細井浩一,「CEROレーティングと売上からみた家庭用ゲームソフトの開発方針の合理性について」,2016年2月,DiGRA Japan2015年 年次大会 予稿集,,pp.177-182,査読有
5,井上明人,「遊びと真面目はなぜ分化しつぃまうのか―融合と分裂をめぐる仮説構築の試み―,2016年2月,コンテンツ文化史学会 2015年度大会 予稿集,pp.18~20,査読無,
 
■研究発表等
1,井上明人,「Game Reviewers can’t notice innovation」,2015年5月,Replaying Japan 第3回大会,
2,井上明人,吉永大祐、山口真一,「ウェブ社会とゲームに関わる定量的研究のこころみ」,2015年8月,DiGRA Japan2015夏季大会,
3,井上明人,「ゲームレビューのイノベーション評価能力について」,2015年8月,DiGRA Japan2015夏季大会,
4,井上明人,「カイヨワ的な遊び論を議論する~どう学際的に捉え直すか~」,2015年9月,多元化するゲーム文化研究会,
5,井上明人,「遊びと真面目はなぜ分化してしまうのか―融合と分裂をめぐる仮説構築の試み―」,2016年2月,コンテンツ文化史学会 2015年度大会,
6,井上明人,福田一史、梁宇熹、辛注衡、向江駿佑、細井浩一,「CEROレーティングと売上からみた家庭用ゲームソフトの開発方針の合理性について」,2016年2月,DiGRA Japan2015年 年次大会,
7,松永伸司、井上明人福田一史、細井浩一,「研究マッピング(ゲーム領域)プロジェクトの実施状況と課題」,2016年2月,DiGRA Japan2015年 年次大会,

■ほかに関わった出版物
1,角川アスキー総合研究所『ゲームってなんでおもしろい?』,2016年3月,,PP.136~155についてインタビュイーおよび、年表作成補助

■その他の活動(報道発表や講演会等)
1,#denkimeter,第一学習社、高校三年生向け英語教科書『Vivid Communication』にて#denkimeterが掲載,2015年4月,
2,「Gamificationの最新動向」,株式会社Akatsuki社内勉強会にて講演,2015年6月10日,
3,「ソーシャルゲーム先行者利益はいかにして破られたか」,GLOCOM ERPセミナー,2015年7月3日,
4,「ゲーミフィケーションとは何か」,立命館大学土曜講座 於 立命館大学,2015年7月11日,
5,「Cool Japanとは何か」,高崎高校の学生さんへの講演,2015年9月7日,
6,スーパーマリオはなぜ流行ったか/マリオ30週年によせて(コメント),NHK News Web および、NHK Worldにて2015年12月に放映,2015年12月,
7,ゲーミフィケーションとは何か(インタビュー),聖教新聞に掲載,2016年3月,
8,ビジュアルノベル「地方病(日本住血吸虫症) Wikipedia 日本語版より」を発表,2015年10月

■担当した授業
1,立命館大学 先端総合学術研究科 特殊講義IV(ゲームの現象論/春学期のみ/大学院生向け)
2,関西大学 総合情報学部 特別講義(ゲーム産業論)(春/秋)
3,関西大学 総合情報学部 テーマ別研究(ゲーミフィケーション)(春/秋)

 

 

 

むかしの業績リストはこちら

 

*2014年度分

2014年度/井上・業績リスト - Critique of Games メモと寸評

 

*2011年まで

Critique Of Games ―ビデオゲームをめぐる問いと思索―: work アーカイブ

 

2012年~2013年は多すぎてめんどくさかったので、雑なのしかつくってません…