Critique of Games メモと寸評

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『なぜ人を殺してはいけないのか』永井均×小泉義之 1998 河出書房新社

 はじめから期待はしていなかったが、もうちょっと読むに足る内容であって欲しかった。特に小泉さんの議論には絶望的なものを感じる。永井さんの方は、議論の実りのなさをよくよく認識されているようだし、異論がないわけでないが言っていることはよくわかる。しかし、小泉さんの議論は一体なんなのか、と。特にロールズへの批判はなんなんだ、これは一体。レヴィナスってこんなに陳腐な話になるんかい。ただ難解なだけのオヤジの説教だろ、これじゃー。
 そして、さらに落ち込むのは、倫理学に批判的である永井さんの方が、実際には倫理学的な議論をして(=行動選択の基礎となる論理を構築している)いて、“レヴィナスの倫理”をふりかざす小泉さんの議論がただの説教オヤジにしかなっていない、という、この状況。がっくり。