Critique of Games メモと寸評

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ファイアーエムブレム訴訟

 今月にファイアーエムブレムの新作が出て、来月にティアリングサーガの新作が出るということで、ファイアーエムブレムファンは財布の中身が気になる昨今。ファイアーエムブレム訴訟が任天堂一部勝訴で高裁判決確定(毎日新聞)したそうです。個人的にはどちらが勝つか、負けるかということ自体にはそれほど興味がなかったりしますが、

 毎日新聞の記事によれば

任天堂は、ゲームソフト会社インテリジェントシステムズ」が開発したゲームソフト「ファイアーエムブレム」にキャラクターや内容が酷似しているとして、ソフトの製造・販売の停止と約2億6000万円の支払いを求め、01年7月東京地裁に提訴した。

02年の東京地裁判決では、任天堂側の請求を棄却。04年11月の東京高裁判決では、エンターブレイン側の当初のゲーム名が「エムブレムサーガ」だったことを重視、「需要者の購買の意思決定に大きな影響を与えた」として不正競争防止法違反に当たると認定。任天堂側の主張を一部認め、約7600万円の支払いを命じたが、ソフトの著作権違反は認めなかった。

 とのことで、著作権じゃなくて、不当競争防止法でいっちゃうのかー、と。それがちょっと残念。
 不当競争防止法で判決が下ると、判決が早いのは実務的な問題からいけばいいことなのだとは思いますが、こういう形だと判決文とかあんまり興味沸かないんですよね(別に私の興味を引く必要なんてどこにもないけれども。)

 「ときめきメモリアル メモリーカード事件」なんかだと判決文がクソ面白いんですよね。たとえば

 …プレイヤーが到達したパラメータの数値いかんにより女生徒から愛の告白を受けることができるか否かが決定される。本件ゲームソフトにおいては,初期設定の主人公の能力値からスタートし,あこがれの女生徒から愛の告白を受けることを目標として主人公自身の能力を向上させていくことが中核となるストーリーであり,その過程で主人公の能力値の達成度等に応じて他の女生徒との出会いがあるという設定となっており,そのストーリーは,一定の条件下に一定の範囲内で展開されるものである。
(荒竹純一Netlaw 「ときめきメモリアル事件」判決全文より)

 とか、

 本件メモリーカードのブロック1ないし11のデータを使用すると,入学直後の時点でストレス以外の表パラメータのほとんどが極めて高い数値となり,これがあこがれの女生徒に合った達成度でプレイできるような数値である結果,入学当初から本来は登場し得ない女生徒が登場する。
 また,本件メモリーカードのブロック12又は13のデータを使用すると,ゲームスタート時点が卒業間近の時点に飛び,その時点でストレス以外のすべての表パラメータの数値が本来ならばあり得ない高数値に置き換えられ,かつ,あこがれの女生徒から愛の告白を受けるのに必要な隠しパラメータの数値を充たすようにデータが収められており,必ずあこがれの女生徒から愛の告白を受けることができるようになっている。
(荒竹純一Netlaw 「ときめきメモリアル事件」判決全文より)

 とか。
 「あこがれの女生徒」という表現は、裁判官のおっさんが色々悩んだ末にその言葉に着地したのであろうという感じがそそります。ぜひ、判決文読み上げの現場に居あわせたい。