Critique of Games メモと寸評

主に研究関連のメモ(井上明人/ゲーム研究)

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主にゲーム研究を中心とした研究関連のメモです。

 

プロフィール(井上明人 INOUE Akito):

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『立命館映像学』のゲーム関連論文

立命館大学映像学部の紀要論文誌である「立命館映像学」だが、こちらもゲーム関係の論文投稿が一定数ある(自分も投稿している) vol.12以後は、オンラインの立命館学術成果リポジトリで内容を確認できる。ダブルブラインドの査読ではないがシングルブラインドの査読がある。

査読付き論文として確認できるもの

年・号 区分 著者 題名
2020・No.13/14 査読付き論文 尾鼻 崇 ゲームオーディオ研究の展望――インタラクティブミュージックがもたらす音響メディアの拡張に向けて―― 55–67 (立命館リポジトリ)
2023・No.16 査読論文 長谷川 綾音・斎藤 進也 視覚情報に付随する“遊びにくさ”を解消するためのゲーム設計に関する探索的研究――調査用ゲームの制作を通じた音による操作支援の検討―― 23–63 (立命館リポジトリ)
2024・No.17 査読付き論文 井上 明人・福田 一史 どれほどのレトロゲームを遊ぶことができるのか――中古市場の流通状況―― 7–23 (立命館リポジトリ)
2024・No.17 査読付き論文 尾鼻 崇・小出 治都子 ゲーム音楽展示の理論と実践――オンライン展「Ludo-Musica」から―― 25–39 (JAGE)
2024・No.17 査読付き論文 笠井 輝・松田 早紀・井上 明人 ゲームプレイによる行動および認知の変容についての実証研究 41–57 (J-GLOBAL)
2024・No.17 査読付き論文 髙松 美紀・斎藤 進也 私であって私でない存在――ビデオゲームのプレイヤーはプレイヤーキャラクターをどう認識しているのか―― 63–105 (KAKEN)

学生論文・学生優秀論文/作品

年・号 区分 著者 題名
2013・No.6 学生論文 宮野 雪夏 ネオロマンスのブランド戦略から見た乙女ゲームの展望 137–174 (CiNii)
2014・No.7 学生論文 戸田 奈月 女性向け恋愛ゲームユーザーの消費行動プロセスについての実証研究 57–81 (CiNii)
2017・No.10 学生論文 亀田 雄大 日本におけるデジタルゲームと社会事象の相関についての一考察――米国の研究事例を参考として―― 19–34 (国立国会図書館サーチ(NDLサーチ))
2020・No.13/14 2019年度学生優秀論文 永井 翔也 デジタルゲームと演劇を組み合わせた新メディアの提案とそのコンテンツの制作 155–198 (立命館リポジトリ)
2022・No.15 2020年度学生優秀論文 松田 早紀 ゲームプレイによる行動および認知の変容についての実証研究――空間認識能力の向上を中心として―― 79–92 (国立国会図書館サーチ(NDLサーチ))
2023・No.16 学生優秀論文/作品 上松 南菜子 ゲームプレイ視聴とeスポーツ観戦の相違に関する実証研究――プレイヤー配置と視聴者の視線に注目して―― 149–199 (立命館リポジトリ)

特集・その他、区分未確認(手元にないので区分不明)

年・号 暫定区分 著者 題名 備考
2024・No.18 特集寄稿論文 Dylan Cuthbert・Masahiko Murakami・Akinori Nakamura BITSUMMIT: Launching Indie-Focused Game Events and Role of Regional Source  
2008・No.1 区分要確認 望月 茂徳 見立て遊びとアンビエントゲーム  
2009・No.2 区分要確認 望月 茂徳 アンビエントバーチャルシティ――生活空間情報駆動型ゲーム――  
2011・No.4 区分要確認 尾鼻 崇・上村 雅之 『スーパーマリオ』の音楽論――ゲームサウンド・スタディーズのための試論として―― 掲載は確認できますが、区分は追加確認が必要です。(CiNii)
2013・No.6 区分要確認 尾鼻 崇・上村 雅之 ゲームオーディオへの「時間論」的アプローチ 同上。(立命館大学研究データベース)
2013・No.6 区分要確認 徐 隆 中国ゲーム産業のクラスター化とその発展に関する一考察 掲載は確認、区分は未確認。(立命館大学研究データベース)
2015・No.8 区分要確認 吉田 桃子 ゲーム実況のバズマーケティング的効果に関する研究 CiNii上で掲載は確認できますが、区分表示は確認できていません。(CiNii)
2016・No.9 区分要確認 中村 彰憲 北米デジタルゲーム産業形成期における家庭用ビデオゲーム専用プラットフォーム形成に関する比較事例研究 掲載は確認、区分は未確認。(CiNii)

 

立命館大学大学院先端総合学術研究科『Core Ethics』掲載のビデオゲーム関連論文/研究ノート

ゲーム研究センターのある立命館大学の大学院「先端総合学術研究科」には、大学院生が主に論文を発表する査読付き雑誌として、『Core Ethics』というのがある。立命館で人文系のゲーム研究を行う大学院生の半分以上(たぶん?)はここに属しており、結果的に『Core Ethics』はかなりビデオゲーム関連の論文掲載率が高くなっている。(※私は先端研ではなくて、映像学部の教員(2019年~)なので、先端研の院生は直接の指導関係にはない)

LLMに自動で抽出してもらった一覧を掲載しておく。(抜けがあったら教えてください)

 

論文欄に掲載されたもの

年・巻 著者 論文名
2009・Vol.5 尾鼻 崇 家庭用ビデオゲームにおける「音楽」の誕生――ファミリーコンピュータと『ドンキーコング』を中心に―― p.35 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2010・Vol.6 尾鼻 崇 初期ビデオゲームにおけるアニメーション技術の活用とその系譜――『EVR レース』を中心に―― p.99 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2010・Vol.6 小孫 康平 各種娯楽における満足感およびテレビゲームに対するイメージ・感情の要因分析 p.181 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2011・Vol.7 越智 朝芳 注意の二重性――映画とヴィデオゲームのスクリーンの考察から―― p.23 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2011・Vol.7 尾鼻 崇 ビデオゲームソフトウェア付属マニュアルの内容分析的研究――「物語設定」を対象とした調査と考察―― p.35 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2012・Vol.8 尾鼻 崇 「GAME&WATCH」のビデオゲーム史的視座――ルール・サウンド・インターフェイス―― p.87 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2012・Vol.8 福田 一史 ビデオゲーム開発企業による創発的イノベーションと戦略形成――株式会社サイバーコネクトツーの事例から―― p.363 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2018・Vol.14 SHIN Juhyung The Living World: Items and the Bartz War p.83 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2018・Vol.14 根岸 貴哉 野球のデジタルゲームの展開と構造 p.175 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2018・Vol.14 梁 宇熹 日本のゲームタイトルの中国語訳についての一考察――非正規市場におけるゲームの伝播―― p.247 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2019・Vol.15 江 葉航 ビジュアルノベルにおける構造とそのリアリティー――ゲームデザインとゲームプレイをめぐって―― p.35 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2020・Vol.16 梁 宇熹 非正規市場における正規版ゲームタイトル翻訳に関する考察――任天堂とソニーの事例―― p.221 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2024・Vol.20 楊 思予 オンラインゲームにおける〈イレギュラープレイ〉――中国における『Battlefield V』のプレイヤー行為の分析を通じて―― p.117 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2025・Vol.21 武 澤威 「ネットゲーム小説」ジャンルの成立――2000年代中国のゲームプレイとメディア環境を中心に―― p.15 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2026・Vol.22 武 澤威 中国におけるチート行為の研究:2000年代ネットゲーム小説を事例として p.1-
2026・Vol.22 木村 亮太 ビデオゲーム作品が持ち得る難易度の類型モデル p.77- 
2026・Vol.22 孟 凱男 政策と市場の交錯から見る中国ゲームセンターの空間再編――場所依存性遊戯とビデオゲーム分離の視点から―― p.223-

関連掲載物(研究ノート・批評/書評)

年・巻 区分 著者 題名
2012・Vol.8 研究ノート 川﨑 寧生 ゲームセンターの店舗形態別研究の必要性――先行研究及び二次資料を中心に―― p.473 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2024・Vol.20 批評 間宮 琴子 川﨑寧生 著『日本の「ゲームセンター」史――娯楽施設としての変遷と社会的位置づけ――』 p.149 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
2025・Vol.21 書評 間宮 琴子 書評:Games Girls Play: Contexts of Girls and Video Games(少女が遊ぶゲーム:少女とビデオゲームの文脈)Carolyn M. Cunningham 著 p.297 (立命館大学大学院 先端総合学術研究科)

 

記録用:ゲンロン8

 

ゲンロン8、炎上時のGoogle Spreadsheetへのリンクがわかりにくくなっているようなので、こちらにもリンクを貼っておきます。

 

【公開用】『ゲンロン8』共同討議へのご指摘に対する返答表 - Google ドライブ

 

 

 

ゲーミングカップヌードル

ゲームの日常言語的性質を示すわかりやすい例。

 

まず、生成AIによるゲーミングカップヌードル


Grok 2によるゲーミングカップヌードルの画像生成(2025年1月22日)



 

Copilot(裏側はDesignerによる?)画像生成 2025年1月22日

 

 

gemini 1.5による「ゲーミングカップヌードル」(2025年1月22日生成)

 

 

 

下記は、日清によって実際に発売された「ゲーミングカップヌードル」※2024年1月に近所(京都)のコンビニで購入したものを撮影(2024

 

ゲーミングカップヌードル

ゲーミングカップヌードル 側面

 

日清による広報はこちら

 

https://www.nissin.com/jp/news/11871

2023年9月18日に全国で発売されていたらしい。

どこらへんが「ゲーム」なのかの説明は、「汁がない“焼そば”と“カレー”なので手や周辺機器が汚れる心配がなく、ゲームをプレイする合間の食事にピッタリです。 」としかないが、おそらく文脈的には3つあり、

  • 1.七色のパッケージであるから。七色に光るものが「ゲーミング」と呼ばれる文脈が2010年前後から日本を含む複数の言語圏で普及している文脈に拠る*1
  • 2.カフェインなどエナジードリンクによく含まれているものを含んでおり、エナジードリンク(Monsterや、Redbull)がゲーマー層をターゲットに10年以上マーケティングを行なってきた文脈にのっている*2
  • 3.日清がPRするとおり、汁なし麺であるためゲームプレイ中に食事をとりやすいことから*3

ということだろうが、いずれも、古典的な「ゲーム」概念との直接的な連続性はかなりわかりにくく2010年~2020年代の特殊な文脈を把握していない人にとっては、まあまず、意味不明である。

にも関わらず、特定の人にとっては「クスッ」と失笑してしまうような形で、ある特定の<狭い文脈の意味の流通>があるということがメタメッセージとして伝わりうる構成になっている。言い換えれば、<多くの人にとって意味が通じないということが、一部の人に通じている>ということを伝達していて、いろいろと素晴らしい。

 

 

2025年3月28日追記:4oの画像生成がよくなったと聞いたのでやってみた。

ChatGPT 4oによる「ゲーミングカップヌードル」(2025年3月28日)

「7色がゲーミング」みたいな文脈をかなりしっかりと抑えられているという印象で、おそらくネット上の「ゲーミング」の意味を拾えているのかな、と思われる。


2025年9月22日追記:だいぶ7色になってきた。

geminiのnano bananaで出力(2025/09/22)




ゲームと「物語」関連について今まで書いてきたものいくつか

こちらも、徐々に自分でも全体像を忘れそうになるので……自分の書いたやつをちょろちょろとまとめておきます。(随時、適当に更新)

 

先行研究系については下記を参照

Game / Narrative系先行研究メモ - Critique of Games メモと寸評

 

1.「ゲーム」と「物語」を連続した概念として捉える:因果関係理解の異なるモードとして捉える

2.ビデオゲームにおいて「他者」の表現はいかに可能か?

3.「ゲーム」のリアリティと、「物語」のリアリティがまじり合わさっている状況をどう評価するか?

 

4.ビデオゲームプレイヤーは、どのような感覚を基盤に作品を評価しているのか?物語でなければそれはなにか?:リテラシーの成立プロセス

  • 物語をベースとした作品評価みたいなことに対する、オルタナティブな評価の立場をいかに構築するかという問題意識からいくつか書いています。物語の批評のことは非常に意識して書いていたテキストですが、下記は直接的には物語の話はしていないです。
  • 井上明人. 2009. 「<リテラシー>という解釈システム」『ユリイカ 特集:RPGの冒険』青土社, 2009年4月号, pp. 154-161
    • 文芸批評において、コンテクスト(文脈)をめぐって議論が交わされることが多いが、ビデオゲームにおいて論じられる対象になるのは、必ずしも明示的に言語化し、議論可能なコンテクストの存在ではないという話をしています。ゲームプレイにおいて習得されるゲームプレイのリテラシー――しばしば言語化されない――に根付いた感覚はかなり、評価において重要で、たとえば『Unlimited Saga』の評価が賛否両論で分裂した状況とかはそれをわかりやすく示している事例。背景化されたリテラシーをかき乱されるときに「クソゲー」という感覚はしばしば生まれるのだし、リテラシーをどのようなプロセスで成立させていくかがゲームの評価・設計における大きな論点になりますよね、と。
  • 井上明人. 2009. 「チュートリアリズムの成立--認知プロセスとしてのゲーム観」『デジタルゲーム学研究』日本デジタルゲーム学会, vol.3-1, pp. 59-66
    • リテラシーの埋め込みプロセスというのは、要するに宮本茂とかがめちゃくちゃ上手いやつです。リテラシーの埋め込みプロセスというのは、別の言い方をすれば、ストレスなく背景化されたチュートリアルの設計みたいなもので、ここではそういうチュートリアルの設計を理想とする宮本茂的な設計思想を「チュートリアリズム」としています。リテラシーの獲得≒上達プロセスの設計自体を楽しみの核として成立させる、という手法を確立させたということがビデオゲームの設計史上、非常に重要な技法になっていて、これはトレードオフとかを明示的に思考させる将棋とかみたいなゲームの楽しみとは別の仕方で作品評価を軸をつくっていますよね、と。
  • 井上明人. 2006. 「オンラインゲームの現在~国際大学グローコム 情報社会学シリーズ "地球智場"の時代へ~」『情報通信ジャーナル』電気通信振興会, Vol.24 No.5 May, pp. 36-39
    • 上記のようなゲーム内の「リテラシー」の任意の感覚を受容者に埋め込んでいく仕組みをビデオゲームが持っている、ということはメディア論的にも重要な特質だろう、と。とくにオンラインゲームに関わる「炎上」(ここではででお事件)は、こういったゲーム内において成立しているリテラシーと、ゲーム内のアイデンティティか絡まる形で発生していて、規範的価値の成立にも寄与していることを述べる