Critique of Games メモと寸評

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主にゲーム研究を中心とした研究関連のメモです。

 

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シラー関係メモ

シラーで抑えておくべきこと

 

  • 「遊戯衝動」
  • カントー判断力批判」の影響(宮崎2016論文)
  • プラトン「国家」の更新としての側面(中村2018論文)
  • 形式的衝動と感性的衝動の循環(井藤2008論文)

 

 

ボイテンディクの文献にどうやってアクセスすればいいのか…

ごくごく一部の人向けの文脈だけれども、

だいたい19世紀~20世紀初頭にかけての遊び論だと基本的にドイツが中心で、

まず、

  • (1)シラーの「遊戯衝動」1801の話(『崇高について(Über das Erhabene)』)
    • →カントにおける自由や、ゲーテからの影響あり
  • (2)カール・グロース『動物の遊び』(1896)での準備説
  • (3)そして、ボイテンディクによるF.J.J. Buytendijk, 1933, Wesen und Sinn des Spiels(遊びの本質と意味)
    • フロイトの死と性の議論に対する批判的検討としての側面

 という流れが、ボーンとでっかくあるという感触がある。だいたい20世紀中盤に、がっちりと遊戯論を書いているピアジェとか、M.Jエリスとかを見ると、ここらへんの流れを意識した章立てに、みんななっている。ホイジンガとカイヨワもこの流れは概ね意識しているなというところがある。

 この中でシラーやK・グロースは、日本語、せめて英語でのアクセスがあり、まだなんとか、という印象なのだが、ボイテンディクの文献へのアクセスが端的に言ってちょっと辛い感じがある。

 そもそも、ボイテンディク(1933=1976)は、ドイツ語の文献しかない??ようで、国内だとおいている図書館も少ない。

 

CiNii 図書 - Wesen und Sinn des Spiels

CiNii 図書 - Wesen und Sinn des Spiels : das Spielen des menschen und der tiere als erscheinungsform der lebenstriebe

 

 どうしたものかという感触がある。

 ガダマー,1960や、西村清和,1989にも、明確にボイテンディクの影響が強く見られるので、なんとかしてDeepl翻訳でもいいので目を通しておきたいところ。

カール グロース(Karl Groos)の著作、著書も含めてpublic domainになってるのでは?

「遊びの準備説」とかみたいな感じで、遊戯論だと、よく引用される、近代遊戯論の最初期の著書として名高いドイツの自然主義っぽい哲学者?Karl Groosの未邦訳の著書がInternet Archiveで公開されています。

 Internet Archiveで公開されてるものって、たまに「ほんとにこれ大丈夫か…?」という感じのものがあるんですが、これは、大丈夫っぽいよ、というメモ。

 

グロースの遊び論の著作だと、1896年の『動物の遊び』と、1899年:『人間の遊び』があるわけです。で、前者は、J.Mark Baldwinによる英訳。後者は、J.Mark BaldwinとElizabeth L. Baldwinさん(ご家族の方?)による英訳があります。

 

The play of animals

 

 

The Play of manのページ。

archive.org

 

 

 

 

翻訳者はたぶんこの人?

James Mark Baldwin - Wikipedia

1934年没。

 

英訳版の著作権も、米国著作権法から考えるとすでに発表年を考えても、訳者の没年を考えても、パブリックドメインになっていると解釈して問題なさそう。

 

何より、internet archiveに、フルテキストがのっているので、翻訳も比較的ラクなはず……

 

世界の主要なゲーム研究の拠点をどう記述するか

ITU、RCGS、Tampere Univなど、ゲーム研究の拠点はいくつかあるが、簡単に記述しようかと思っているが、どういうふうにまとめようかちょっと考えているが、

だいたい、次のような国際カンファレンスの開催地をやったところ、というようなのを集計していくと、そこそこ説得的なものになるような気はしている。

  • DiGRA(International)
  • Replaying Japan
  • IEEE SeGAH(International Conference on Serious Games and Applications for Health)
  • Philosophy of Computer Games Conference 
  • Games and Literary Theory Conference 
  • The History of Games Conference

Game / Narrative系先行研究メモ


■Greg Costikyan, "Where Stories End and Games Begin," Game Developer, September 2000, pp. 44-53.


■Gonzalo Frasca 2000,

https://ludology.typepad.com/weblog/articles/ludology.htm

クロード・ブレモン『物語の論理 Logique durecit』からの影響系。構造物と、生成的なやつ。複数のゲームの可能性を生み出すルールの集合がルドゥスで、「セッションはルドウスではなく、ルドゥスが生み出すものにすぎない」という立場。

※東2007も参照していると

 

■Jenkins (2004)Game Design as Narrative Architecture

https://web.mit.edu/~21fms/People/henry3/games&narrative.html

 


■Aarseth, E. J. (1997). Cybertext: Perspectives on ergodic literature. JHU Press.

Ergodic Literature!

 


■Aarseth (2004) Genre Trouble: Narrativism and the Art of Simulation

https://www.researchgate.net/publication/246312570_Genre_trouble_Narrativism_and_the_art_of_simulation

 

■Aarseth (2012), A narrative theory of games

介入可能性系のまとめとか、

World, Objects, Agents, Eventsの多層での整理とか。

https://www.researchgate.net/publication/254006015_A_narrative_theory_of_games

「物語/ゲーム」の区分が、ゲームの多層的な要素に関連しているというのは、そうだとは思う。

 

■Juul(2005), half real

Rule/ Fiction間の相互関係系。

 


■Jesper Juul,1998 "A Clash Between Games and Narrative," paper presented at the Digital Arts and Culture Conference

http://www.jesperjuul.dk/text/DA%20Paper%201998.html.

 


■Jesper Juul, "Games Telling Stories?", Game Studies

http://cmc.uib.no/gamestudies/0101/juul-gts

 

■松永, 2018,ビデオゲームの美学

 

なお、補足ですが2022年現在の井上の物語論で読んでほしいものは、下記の2017年ぐらいに書いたものです:

上記は、もともとは、

2009年ぐらいに書いてたもののブラッシュアップです。

ゲームと物語のスイッチ ――ゲーム研究者・井上明人が考える『ゲーム的快楽』の原理 (PLANETSアーカイブス)|PLANETS|note

ざっくりといえば、「物語」として状況を解釈するタイプのあり方と、「ゲーム」として状況を解釈するタイプのあり方はかなり連続性の高い現象だという指摘をしています。

※文(小説)やプログラム(ゲームプログラム)といった形でのメディアとして固定化されたものとして連続しているという話ではありません。

 

資料:『ホモ・ルーデンス』を何で読むか

おそらく、オランダ語版がこれ?

Homo ludens, proeve eener bepaling van het spel-element der cultuur(オランダの原語版?)
https://adoc.pub/homo-ludens-proeve-eener-bepaling-van-het-spel-element-der-c.html

 

英語版はこれ 
https://bibliodarq.files.wordpress.com/2014/06/huizinga-j-homo-ludens.pdf

 

日本語は、里見訳で読むか、高橋訳で読むか……。

 

高橋英夫訳、ホモ・ルーデンス -ホイジンガ 著/高橋英夫 訳|文庫|中央公論新社(1973)

里見元一郎(さとみ・もといちろう)訳、

『ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』(ヨハン・ホイジンガ,里見 元一郎):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部 1971(2018年に講談社学術文庫として出版)

  • オランダ語版、オランダのハーレムで出た全集第五巻Homo ludens : proeve eener bepaling van het spel-element der cultuur, in : Johan Huizinga, Verzamelde werken V.Cultuurgeschiedenis III(ed. L. Brumenl et al.) T.D. Tjeenk Willink, Haarlem. 1950p.26-246を元に、英語版、独語版を参照とのことp.392
  • 里見元一郎は、1928生の歴史学者