Critique of Games メモと寸評

http://www.critiqueofgames.net の人のブログです。あんまり更新しません。

このブログについて

主にゲーム研究を中心とした研究関連のメモです。

 

プロフィール(井上明人 INOUE Akito):

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初期のビデオゲームについての論文リンク(随時更新?)

随時更新(するかも?)

 

NIMROD 関連

1940年のパテント文書

US2215544A - Machine to play game of nim - Google Patents

https://patents.google.com/patent/US2215544

 

 

1950-

An Early Danish Computer Game | SpringerLink

https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-642-03757-3_29

 

その他:

知らなかったが、Nimrodという旧約聖書の登場人物がいるらしい。

https://link.springer.com/chapter/10.1057/9780230610507_2

 

CRT娯楽機器

 

US2455992A - Cathode-ray tube amusement device - Google Patents

https://patents.google.com/patent/US2455992

 

 

OXO関連

 

A. S. Douglass creates OXO

IATテスト

近年人々の分断やら何やらが促進されているという話はあるが、意識下の差別的意識みたいなものの程度を測定しようというテストが大規模に実施されているというのは知らなかった。

 

implicit.harvard.edu

 

試しにひとつやってみたが、かなりこまかく作られていて、興味深い。私個人もむろん、意識下の偏見は確実にあったというのが可視化されてよかった。

 

新しいバージョン(英語)は下記のサイトでできるらしいが、

implicit.harvard.edu

 

研究成果が地域と紐付けられて描かれているのも良い。

https://implicit.harvard.edu/implicit/blog.html

 

いくつかの、測定上の問題はまだありそうではある。

あと、細かいこと言うと、この手のテストの紹介が、unconcious(無意識)の調査ということになっているが、こういうのは、subcouncious(意識下)と呼ぶようにしてほしい。

オンライン学習と自己調整型学習

MOOCについてのsystematic literature review

 

Wong, J., Baars, M., Davis, D., Van Der Zee, T., Houben, G. J., & Paas, F. (2019). Supporting self-regulated learning in online learning environments and MOOCs: A systematic review. International Journal of Human–Computer Interaction35(4-5), 356-373.

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10447318.2018.1543084

盛本 晶子, 時間選好率および現在バイアス性がオンラインゲーム内コンテンツへの課金行動に与える影響, 行動経済学, 2018

学生に教えてもらった。

双曲割引などの研究をしている行動経済学の先生の研究

 

盛本 晶子, 時間選好率および現在バイアス性がオンラインゲーム内コンテンツへの課金行動に与える影響, 行動経済学, 2018, 11 巻, p. 1-13, 公開日 2018/07/10, Online ISSN 2185-3568, https://doi.org/10.11167/jbef.11.1, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbef/11/0/11_1/_article/-char/ja, 抄録:

本稿の目的は,人々がオンラインゲーム内コンテンツの購入もしくはオンラインゲームをプレイすることに対して料金を支払う,いわゆる「課金」行動について時間割引の観点から検証することである.東京国際大学の有志学生に対してアンケート調査を行い入手したデータを分析した結果,(1)時間選好率は課金行動に影響を与えないこと,(2)現在バイアスの程度が強いほど課金する傾向があること,(3)ナイーブの度合いが強いほど課金する傾向があること,の3点が明らかになった.

 

小松 光, ジェルミー・ラプリー『日本の教育はダメじゃない ――国際比較データで問いなおす』2021、ちくま新書

  • 読んだ。
  • 右派の人が喜びそうなタイトルだが、PISAデータなどを順当によみつつ、国際的な教育研究における日本の教育の評価や位置づけを述べる落ち着いた内容。主張の仕方が全体的にきっちりとしている感じで、良い本だと言っていいのでは。
  • 主張の内容は、基本的にはタイトル通りではある。
  • 本の内容からはずれた感想になるが、こういう新書は、基本的に記述統計学の範囲内だけで書くもんなんだよなあ……と改めて思った。社会科学関連の新書だと、統計的検定の話とかって言うのは、それほどでてこなくて、学術書だといきなり出てくるという体験をしている人はけっこう多いのではないだろうか。
  • 間を埋めるようなところは、だいたい大学学部の社会調査とか初歩的な統計関係の授業でフォローアップされるわけだが、そこは教育格差としてなにげにひらいてしまうのだよな。
  • 近年は、高校の数学のカリキュラムの中に一応、相関係数とか標準偏差ぐらいまで扱う枠組はできているが、大学生を見ていると、文系の大学生はほとんど理解していないので、「ううむ」という感じはある。
  • もう少し大半の人が習うようなカリキュラムの中に、調査設計の良し悪しとか、エビデンスの強さとか、バイアスとか何かみたいな部分は入れられないかなあと思う。「科学」とか「研究」に関する発想が、漫画に出てくる万能の「ハカセ」みたいなのと、さほど変わらん現状とかってマシにならんのかな、と最近はとくに思う。
  • 英語圏における地球平面論の流行などを見ると、「あー、たしかに日本の教育は、いいほうなのかも……」と思ってしまうが、この2021年における「かなり教育のすすんだ国」のクオリティで現状の日本ぐらいなんです、というのはなんというか、大変だなあ、改めて思う。2021年現在は「民主主義」というプロジェクトを成立させるのはほんとに大変だなと、実感するような事件が目白推しだが2200年とかになったら、世界の教育水準があがって、民主主義ももう少しマシなものになっているのだろうか?

東浩紀『ゲンロン戦記』(2020、中公新書ラクレ)

 

  • 遅ればせながら読んだ。下記、雑駁な感想。
  • 東さんの本は、『動物化するポストモダン2』もそうだったのだけれども、自分が完全にお客さんというわけでもなく、読書体験としてはかなり特殊な部類に入るなと思う。
  • 内容的には、東さんが飲み会などでお話されている雰囲気で概ねの記述がすすんでいくので「まさか、東さんから、こんな見え方をしていただなんて……!」というような驚きはない。けれども、ゲンロンの活動は、内部事情を知らない部分も多かったので、なるほど、そういうことがあったのか、という感じでスルスルと読めた。
  • 言論のプラットフォームをつくるという東さんの仕事は、私のような人間にとっては著しく重要で、本当にお世話になってきたと思っている。特に、2005年6月~2006年6月の1年間は私は、GLOCOMの東浩紀研究室所属ということになっていて濱野くんや、山根さん、松谷さんらと、isedの仕事をやったり、『智場』を編集したり、RGNという研究会をやったりと本当にいろいろとやらせていただいた。そのあとも、数年に一度お会いしたりしつつ、2018年は『ゲンロン8』を一緒に作った。
  • 仕事相手としての東さんについてあまり細かい話を書く気はいまのところないけれども、ゲーム業界を作り上げてきた方のオーラル・ヒストリーを作っていくような仕事をしていると、自分のやってきた仕事の周辺が誰かによって語られた場合、どう見えるのだろうということを考えるが、そう言う意味でいろいろと考えさせられた。
  • 東さん関係で、見えにくくなっていることできちんと記録残しておいたほうがいいことはいろいろあるように思う。
  • 一つは、誰が東さんによって見いだされたかということは、もう少し可視化しやすくなっててもいいかもしれないと思う。濱野くん、宇野さん、黒瀬さんやゼロアカ道場関係者のみなさんなどは、多くの東さんのファンの人からみえているような人は、さすがに誰かが記憶しているとは思う。だが、私ぐらいだと、東さんファンとかからすると「そういえば、そういう人いるね」ぐらい(かな?)の見え方だと、かなりの東さんファンか、東さんに関係の近い人でも無い限り全体像がわからないだろうし、なんだったら関係の近い人でも、わからなくなってきているだろう。
  • たとえ思想的な世界観といったような意味で、それほど東さんの影響下にいるとは言えなくとも、キャリア形成が、東さんによってそれなりに影響を受けた人は少なくないと思う(残念ながら、ネガティブな影響を受けた人も含めて)
  • いわゆるロスジェネ世代あたりから下の年齢で、サブカルチャーに関わるような仕事をしてきた知識人、批評家、研究者だと何らかの形で東さんと関わっていることは多いし、国内の情報社会論や、サブカルチャーをめぐる議論のコミュニティ形成史を考える上で、東さんの影響というのは本当に小さくないと思う。「国内のサブカルチャーに関わる議論はすべて東浩紀の影響下にある」みたいな言い方はさすがに間違っているとしか言いようがないけれど、「影響力の大きかった個人」「議論の場を作ることに注力しようとした個人」という意味では、東さんの貢献は大きい。
  • 東さんよりも下の年齢の、私と同年代前後の論壇的な人だと、チャーリーさんはLIFEを、荻上さんはsessionを、宇野さんはplanetsを、鈴木健さんSmart Newsをつくっている。みんな議論のプラットフォームをつくるという仕事に強い情熱をもっていて、この世代の日本の論壇人が、論壇人としてのプレイヤーである以上に「論壇」そのものの再設計をしようという意思が明らかに強かったということは、後にどう語られるのかわからないけれども、人の発掘と、プラットフォームの議論のプラットフォームの設計をしようということをやっている。
  • もちろん、ちょっと前の世代を考えても、柄谷さんにせよ、浅田さんにせよ「場」をつくるということにはコミットしてたわけだし、それこそ松岡正剛のようなタイプの知識人も前の世代にはもちろんいる。
  • ただ、プラットフォームをつくるというよりは特定の政治的な目標を含んだ「運動」にコミットしてその代表者として活躍してきた知識人とかも多かったのも事実ではある。実際、いまでも知識人を特定の「運動」と結びつけてイメージする人はかなり多いと思う。もちろん、今でも、特定の「運動」の達成を目指す知識人はいるし、別にそれが悪いというわけでもないが、プラットフォームをつくる知識人の活動は、運動家のそれとは近いようで違う。もちろん、大学的な「知」のあり方とも違う。
  • そういうことと絡めて本書は、あと数十年後に知識人論みたいなことをやる人にとっての重要文献になるんだろうなあ、などと思いつつ読んだ。