Critique of Games メモと寸評

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松永「ARとマジックサークル」へのなるべく短いコメント

To:松永エントリ

CC:公開

 

 松永さんの下記エントリへのコメント。

9bit.99ing.net

 長くかくとすごく時間くいそうなので、なるべく、さらっとにコメントしておくよ

 

 >ARゲームはふつう位置ゲームでもある。

 

 「明らかにこれはARゲームではあるが、位置ゲーとはいいづらい」ものとしてEye of Judgement(PS3)を挙げます。

 

Eye of Judgement( PS3 ) - YouTube

 

 また、ゲーム機との相対的位置情報を(おそらく)用いているが、GPSを使っていないという意味では、次の例は扱いが微妙な範疇かと思います

『ポケモンARサーチャー』の遊び方|『ポケモンARサーチャー』公式サイト

 

>現実の事態に対してゲーム内の意味の層がのっかるというのは、ほとんどすべてのゲーム(少なくとも、構成的規則を持つゲーム)に言える

  

 これは基本的には同意します

 

 ただし、次の点が論点になるかと

 

A.ゲームの参加者と非参加者が見分けにくい点

 →もっとも、アナログゲームでも、リアルの街を使った鬼ごっこなどは同様の問題がある)

 

B.ゲームプレイヤーの網膜に、物理的に見えている風景が、物理的に近接する人から見えている風景と違っているということ

 →これも、手札を隠すようなトランプであれば近いとは言える。また、VRのゲームであれば、これはより強く発生する。

 

C.A,Bが同時に成立しているということ

 →これはすぐには位置ゲー以前のゲームだと、パッと思いつかない。

 

 >『Pokémon Go』がなにかしらそういう「侵食」に見えるのだとしたら、それは参加している人が相対的に多いという程度の問題だろう。

 

 この点はあんまり同意しないです。

 ARの問題というか、GPSの問題。GPSとゲーム上の要素を紐付けていることの問題が大きいと思うので。

 ワールドカップ時にサッカーファンが通りで騒ぐのは、偶発的な事態だけど、IngressやポケモンGOで、ポケストップ/ジム/ルアーを設置することは、ゲームの開発者や参加者らによって、ゲームのメカニクスとして意図的にコントロールされた要素なので、けっこうそこは違ってくるかな、と。

 意図的にコントロールされた要素であるからこそ、JRや裁判所や神社が、「うちをポケストップから除外しなさい」という要請をナイアンテックに出すという事態が発生するわけで。そこはマジックサークル(二次的現実)の内側のものに対して一次的現実からの直接的な介入が可能になっており、二次的現実/一次的現実の間のインタラクションをしやすいというか、ある程度まで、そうせざるを得ない設計になっているという点で既存のゲームとは違った構造をもっていると思います。

 「現実を侵食する」という表現を使うかどうかは、好みの問題だと思いますけど。

 

 あと、これは松永エントリに関係ないけど、ゲーム的な話というか、サイバースペースのガバナンスみたいな文脈だと、「実空間と紐付いた電子空間に関わる権利」のような新たな権利の問題を多くの人に可視化させるという社会的機能を、ポケモンGOが担ったというのはけっこうでかいと思っていて、現実空間に紐付いた新たなレイヤーが社会に浸透するたびに、新しい制度の問題ができてくるわけで、そういうところはすげーなと思っています。もっとも、可視化自体はほんとは、ポケモンGO以前のIngressとかFoursquareとかでも起こっていたけれども、みんな気づいたよね、というのは、ポケモンGOのユーザー数のおかげだとは思うので、ここらへんは参加している人数の相対的な多さの問題があるのは確かかな、と。

 

 今週中ぐらいにはなんか書きたいが、論点おおすぐる感じがして、ヤバイな、という感じだけがしている…