Critique of Games メモと寸評

http://www.critiqueofgames.net の人のブログです。あんまり更新しません。

「豊かな批評」の話のつづき

どこからが豊かな批評なのか - Critique of Games メモと寸評 のつづき。

 

松永くんからのコメントもらったのだけど、ここ数年Twitterを見すぎないよう、15分以上Twitterを見るとはじき出される設定にしているので、こちらでコメント返します。

事実確認的なポイントを2点と、余談。


.ラーメンの批評は、マンガでコミカルにされているというよりも、ラーメンオタ界隈が賑わってかなりオタの言語も豊富になってきたことをうけて書かれているのが、『ラーメン発見伝』の作品であるという印象。かなりの語彙を操る事のできるガチ勢が数千人レベルでラーメンの場合はいるだろうと思われる。
 コミカルな表現というよりも、ベタにガチ勢っぽさが漂っている。5/28までは、3巻まで無料公開中とのこと(よく無料公開している)。
https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/117845/

 

.キーボードは、確かに7割は、機能についての会話ではある。だが、キーキャップにハマり始めると、「どのキーキャップを合わせるのがかわいいか」に拘りはじめる人は、多いので、機能について議論していたはずのコミュニティが一周まわって、謎のフェチになっていっている感じがある。
一番わかり易いのは、artisan keycaps とかで、何の機能性もなくて、単にワンポイントアクセントになっている。
https://yushakobo.jp/product-category/artisan-keycaps/

あとここらへんのキーボードとかは、かなり見栄えのかわいさを考えている感じはある。
https://www.pinterest.jp/complexequality/keyboard/

キーキャップに関しては、海外キーボードコミュニティのredditとかだと、かなりスレが伸びる状態になっていて、これも数百人レベルでは、結構高度な語彙を駆使する人たちがいる印象。キーボードコミュニティはそういうわけで、それなりに「かわいいは正義」的な世界でもある。

 

<キーボードコミュニティにおいて「かわいいは正義」であることを示す事例。>

#まじな話、けっこう多くの人が「かわいい」を気にしている。そうでない人もいるけど、正直、zincとかnomu30は、めっちゃかわいいと私も思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自作キーボードのここらへんの文化は、強いて言えば、車とか、バイクとかで、機能について論じると同時に、暴走族的な感じの人がごりごりに改造車をつくってゴテゴテにしたバイクとか、トラック野郎の人のビカビカのトラックとかあるけど、ああいうノリにある意味で近いのかもしれない。(やってる人の層と、ノリは全然違うけども)

 自作キーボード界隈にも「光らせる」派の人と、「光らなくてもいいよ」派の人がいて、私は光らなくてもいい(むしろ、光らないでほしい)派なのだけれども、光らせる派の人とかは、なんかビカビカしてるのが好きなイメージ……。

 最近の自作キーボードは、かなり細かい設定で光らせることができるからね……。

 

<光るキーボードの例。>

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして並べてみると、なんか、みんな、KAWAIIIIII!しか言ってなくて、最高に語彙力がなくてテンションがやばみな感じだけど、こういう、語彙力がないかわいい感じと、ストレートに技術っぽいトークで占められるのが自作キーボードコミュニティの風景という感じ。よくよく考えると、まあ、確かに批評っぽいテキストはあまりない……。

 例外としては、大岡さんのエンドゲーム(究極のキーボード)論あたりは、キーボード界隈で唯一批評的な何かを感じさせるテキストにはなっている。

【薙刀式】エンドゲームはどこにあるか: 大岡俊彦の作品置き場

 究極のキーボードを手に入れること自体がキーボードコミュの目的なのではなく、キーボードに対する知識やメンテナンスの能力を身につけることが、実質的に「究極のキーボード」に近づくことなのではないか、というキーボードコミュの「究極の目標」に対するメタ的な議論をしている。これは、まっとうに批評的な種類のテキストと言ってよいように思われる。ただ、大岡さん以外で、こういうタイプの議論をする人をあまり見ない。

 みんな、語彙力のなさみがヤバみな雰囲気を楽しんでいる感じもするし……。

 

 

ほぼ余談

斎藤公輔さん(『風呂』の作者でもある)の室外機に対するマニアックな話とかは、さすがに芸術形式的な話にするのはかなり、無理だろうなと思う。

室外機が愛おしいのでフィギュア化してみた :: デイリーポータルZ

斎藤さん以外に室外機について、アツく語っている人を見たことがないし、室外機の配置をしている人も、斎藤さんのような人を見たこともない……。

 

とはいえ、斎藤さんの工藤さんの「東横インファン」2人の対談とかになると、「対話」は成立しはじめているが、

www.excite.co.jp

東横インは、まあ難しいだろうな………。