Critique of Games メモと寸評

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臨場感(≒sense of presence)の質問紙による測定手法などのメモ

 

Sense of Presenceの尺度関連論文

 
VR系の研究だと、質問紙というか、f MRIとか、唾液調査とかの神経生理学的な調査をやっていたり、やや手間のかかるフェイクを交えた実験法を用いているという印象があるが……、質問紙調査のスタンダードなものについて、調べていくものとする。

 

無難に臨場感の訳語ということになっている、"sense of presence scale" などで、検索すると、

下記の論文が質問紙としては、かなり参照数が高い。(5000越え)

 

 まあ、標準的に用いられているスケールなのだろうと思える被参照数。ここまで、メジャーだと、たぶん日本語圏でも訳されたものがあるだろうと、検索すると、下記の論文が見つかる。   実際の質問紙もついており、参考にしやすいが、独自の指標も付け加えたとのことなので、「独自」部分についての評価は、ちょっとどうしたものかがわからない。
 
 
 
 なお、VR系での臨場感概念についての議論を探すと、下記の論文が見つかる。
 
こちらでは、質問紙調査としては、以下のものを代表的なものとしている。
寺本et.al. 2010の指摘は、最初に読むものとしては勉強になる記述が多い。  
臨場感をいかに測定するかという問いに対して数多くの研究が行われてきた.そこでは,高臨場感創出要因が数多く見いだされ,様々な臨場感評価法が提案されている.たとえば,臨場感を生起させる要因は,外部要因(メディアやコンテンツ側要因)と内部要因(ユーザー側要因)に大きく分けられ[18],外部要因には感覚情報の提示範囲,インタラクティブ性,ユーザーによる環境の変更可能性[16]やコンテンツの内容[10],他者とのコミュニケーション可能性[22]等が含まれる.内部要因には,ユーザーの知覚・認知能力,運動能力,パーソナリティ,年齢,性別,観察時の気分が含まれる[18][19][21]
 
 これまで刺激を受ける感覚モダリティが増加するほど,現実場面での我々の感覚経験に近づくため、臨場感は増幅すると考えられてきた[16][24][13].たとえば,視覚だけでなく,聴覚[i]や自己受容感覚[18]を同時に刺激し,臨場感を増幅させようという試みがいくつも存在する,しかし,高臨場感の実現に関して,すべての感覚モダリティからの入力が寄与するのか,あるいは特定の感覚モダリティからの入力のみ(感覚モダリティ選択性)が寄与するのかについては,これまで明らかになっていない.また,複数の感覚モダリティからの過剰な入力は,臨場感体験場面において極度の感覚的・精神的疲労を生じさせる可能性も考えられる[13].
 
 なお、WitmerとSingerの論文は、1998はアクセスが有料なのだが、2005にリヴァイスされて因子分析をしているものは下記からアクセスできる。

https://stars.library.ucf.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=6778&context=facultybib2000

 

下記の日本語論文、福森聡,2005のP24-P25の質問紙は、上記のWitmer and Singer 2005の問を翻訳して、調整している。

 

Social Presence関連

Sence of Presenceに、他者とのコミュニケーションが重要なのではないかという、指摘はよくわかる。下記の論文が該当論文とのこと。
 
 
 
この論文自体が何かを示しているというよりも、"Social Presence"についての議論を整理したりしている。だいぶ古い論文なので、ここから、数珠つなぎに、Social presenceについてのLiterature Reviewをしている文献を探したほうが良さそう。 この論文を引用しているもの一覧
 
この中でも、たとえば、Sense of Presenceではなく、Social Presenceについての議論をまとめた、下記の論文などは面白そう。
 
VR系の文脈でいくのかと思ったら、Social Presenceの定義の最初に引っ張り出されるのが、Goffman 1959。そして、Social Presenceの概念にも、そもそも、いくつかの側面があることを整理している。この論文の表1は面白いし、勉強になる。大きく、3つの領域を分けている。訳語は適当にわりふったが、まあ、ちゃんと調べたほうがよさそう。
  • Copresence: colocation, mutual awareness(共在、コロケーション、相互認知)
  • Psychological Involvement(心理的関与?)
  • Behavioral Engagement(振る舞いのエンゲージメント)
 
なお、表2も面白い。Social Presenceについての、自己申告系の質問紙調査での、尺度となっているものをいくつか紹介している。 これも、大くくりの領域を定義している。
  • Perceived social richness of the medium(メディアのソーシャル・リッチネスの知覚?)
  • Involvement, Immediacy, or Intimacy(関与性、即応性、または親密性)
  • Social judgments of the other(他者の社会的判断)
  • Single or two item measures(シングルまたは2項目の測定)
最後の表3もよい。

 
 
ちなみに、Social Presenceについて、ビデオゲームのモチベーションの問題などを扱ったものもある。 Social Presenceについて扱った比較的新しい論文だと下記がある。
 マーケティング系の話にいっているので、VRという感じとはちょっと違うが……。