Critique of Games メモと寸評

http://www.critiqueofgames.net の人のブログです。あんまり更新しません。

因果効果の推定は、創発的現象の機序の解明に寄与するのか?

学生と話していて、混乱を生みがちなポイントだと思ったので、メモ。

 

1.統計的にそれなりにきちんとした手続きを踏んで、因果効果が推定できることと、

2.創発的現象の機序を明らかにすること

 の間には、ダイレクトな関係はない。あたりまえだけれども。

 RCTなり何なりの話というのは、あくまで帰納的に因果効果を推定することであって、それは、創発的現象(ここでは、弱い創発主義的な立場を想定している)の機序を直接的にあきらかにするわけではない。それはRCTがいかに強い因果効果の推定をしえたとしても、機序の問題はやはり、理論的なモデルをたてないと無理である。

 

  • 「AとBが組み合わさった時に新しい性質Xが付与されるか」(創発)という説明と、
  • 「Aに対して、Bという介入があったときに、Aに変化Xが発生するか」(因果効果)という説明

 の2つの違いの話なので、正直、けっこう混乱を生む話だよな、とも思う。まあ、「変化X」が新しい特性として生まれるものなのか、それとも、単なる新たな特性の獲得ではない単なる「変化」なのか。

 

 参照先があれば、下記にメモする。

 

 

Kim の定式化(Kim 1999, pp. 20-22)

 

 

余談:

RCTといえば、ランダム化比較試験 RCT:Randomized Controlled Trialだろうと、思っていたが、ぐぐっていて気がついたが、合理的選択理論 Rational Choice TheoryもRCTなんだな……。