学生と話していて、混乱を生みがちなポイントだと思ったので、メモ。
1.統計的にそれなりにきちんとした手続きを踏んで、因果効果が推定できることと、
2.創発的現象の機序を明らかにすること
の間には、ダイレクトな関係はない。あたりまえだけれども。
RCTなり何なりの話というのは、あくまで帰納的に因果効果を推定することであって、それは、創発的現象(ここでは、弱い創発主義的な立場を想定している)の機序を直接的にあきらかにするわけではない。それはRCTがいかに強い因果効果の推定をしえたとしても、機序の問題はやはり、理論的なモデルをたてないと無理である。
- 「AとBが組み合わさった時に新しい性質Xが付与されるか」(創発)という説明と、
- 「Aに対して、Bという介入があったときに、Aに変化Xが発生するか」(因果効果)という説明
の2つの違いの話なので、正直、けっこう混乱を生む話だよな、とも思う。まあ、「変化X」が新しい特性として生まれるものなのか、それとも、単なる新たな特性の獲得ではない単なる「変化」なのか。
参照先があれば、下記にメモする。
Kim の定式化(Kim 1999, pp. 20-22)
- ref: https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/210111/1/phs_10_25.pdf
- "創発するものの因果的な効果:創発性質は特有の因果効力を持つ.つまり,創発したものの新奇な因果効力がその構成要素の因果効力とは異なる."
余談:
RCTといえば、ランダム化比較試験 RCT:Randomized Controlled Trialだろうと、思っていたが、ぐぐっていて気がついたが、合理的選択理論 Rational Choice TheoryもRCTなんだな……。