Critique of Games メモと寸評

http://www.critiqueofgames.net の人のブログです。あんまり更新しません。

ゲーミフィケーションに関わる本の著者が一同に会す夜

本の出版に際して、下記イベントをUSTREAMにて行います!
告知ページはこちら→ http://www.s-dogs.jp/dgame/Event/radio01.html

【緊急告知】当日はクローズアップ現代にて「ゲーミフィケーション」特集がされることが判明したため、本USTでは、この番組内容にコメントをつけていきたいと思います。
 そして、クローズアップ現代のスタジオでコメンテーターを務める濱野智史氏に放送終了後に駆けつけていただく予定です!!

ゲーミフィケーションに関わる本の著者が一同に会す夜

ゲーミフィケーション・パーティナイ(Gamification Party Night)」

■概要

ゲーミフィケーションバズワードとして消費させるな!」メディアの過熱でセカンドライフが単なる流行りに終わってしまったことを教訓に、流行語として消費されそうな状況を危惧する「ゲーミフィケーション」に関わる本の著者が一同に集結し、「ゲーミフィケーション」を徹底的に語り尽くす一夜限りのUstreamイベントを開催。『ゲーミフィケーション−〈ゲーム〉がビジネスを変える』
NHK出版)の出版を前日に控えた井上明人氏が著作について自ら語るスペシャルトークセッションも行われる。ゴールはただ一つ。ゲーミフィケーションの可能性を知ってもらうことだ。ゲームへの深い理解を持つメンバーが繰り広げる白熱した討論を見逃すな。

■主宰

Gamification Party Night実行委員会

■日時

1月25日(水) 
 第一部 19:15〜20:20
 第二部 21:15(変動します)〜21:40

■放送内容

19:15〜 オープニング・トーク
19:30〜 クローズアップ現代ゲーミフィケーション」を見る
21:15(変動します)〜 ディスカッション
21:25〜 簡易ワークショップ ゲーミフィケーションを考える

■USTREAM中継

http://p.tl/OcHT

■登壇者

ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える

井上明人国際大学GLOCOM助教
1980年生まれ。国際大学GLOCOM研究員/助教慶應義塾大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同SFC研究所訪問研究員を経て、現職。2010年日本デジタルゲーム学会第一回学会賞(若手奨励賞)受賞。論文に「遊びとゲームをめぐる試論――たとえば、にらめっこはコンピュータ・ゲームになるだろうか」など。2012年1月27日、初の単著として『ゲーミフィケーション―〈ゲーム〉がビジネスを変える』(NHK出版)を上梓予定。東日本大震災直後の2011年3月14日より節電ゲーム「#denkimeter」プロジェクトを提唱し、注目を集めた。
 
 
 
 

幸せな未来は「ゲーム」が創る

藤本徹(東京大学特任助教
1973年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。民間企業等を経てペンシルバニア州立大学大学院博士課程修了。博士(Ph.D. in
Instructional Systems)。2011年より現職。慶應義塾大学環境情報学部、東京工芸大学芸術学部非常勤講師、産学連携推進機構、立命館大学客員研究員を兼務。専門は教授システム学。特にゲームの教育利用、社会的応用研究、シリアスゲーム開発者教育に従事している。著書に『シリアスゲーム』(東京電機大学出版局)、訳書に『テレビゲーム教育論』(同)、『デジタルゲーム学習』(同)、『幸せな未来は「ゲーム」が創る』(早川書房)など。


アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか

濱野智史(情報環境研究者)1980年生まれ。研究者/情報社会論、情報環境研究。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。2006年まで、GLOCOM(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)研究員として「ised@glocom:情報社会の倫理と設計についての学際的研究」スタッフを務めた後、現在は株式会社日本技芸にリサーチャーとして勤務。2ちゃんねるニコニコ動画SNS,ブログなどネット上のコミュニケーション・アーキテクチャを論じる気鋭の若手研究者。2008年、初の単著として『アーキテクチャの生態系』(NTT出版)を上梓。近刊に、東浩紀との共編『ised 情報社会の倫理と設計』(倫理篇・設計篇の二冊組,河出書房新社)。


デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド

松井悠(株式会社グルーブシンク代表)
格闘ゲームを軸にさまざまなゲーム大会を制覇した後、フリーライターとして1996年より活動を始める。得意なゲームジャンルは、格闘ゲームをはじめ、アクションゲーム、FPS、TPSなどPlayer
VS Playerのゲーム全般。デジタルゲームを競技として捉える「e-sports」の普及のため、IGDA日本デジタルゲーム競技研究会世話人、世界最大のデジタルゲーム競技大会World
Cyber Games日本プロデューサーや、中韓政府主催のInternational E-sports
Festival日本プロデューサーを務める。近著に『デジタルゲームの教科書』(ソフトバンククリエイティブ)、『デジタルゲームの技術』(同)。

シリアスゲームとゲーミフィケーションは何が違うか?

 爆問学問で、シリアスゲームの話題をやる、ということなので、ちょっと簡単に参照先記事、として書いておきます。
 シリアスゲームと、ゲーミフィケーションについては一緒だ、とみなすむきもあるのですが私および、一部の論者の間では、この二つは概念的に分けておこう、というはなしがけっこうあります。

1:同じところ

 ゲームを娯楽以外のさまざまなシーンのために活用する、というところ。

2:違うところ

 シリアスゲームは、あくまでゲームの作品をつくる、ということです。「このゲーム何するの?」って言われたときに、きちんとゲームを遊べるように作っておく必要がある。それがシリアスゲームです。
 だけれども、ゲーミフィケーションというのは「ゲーム」である必要がありません。ゲーミフィケーションというのは、既存の活動の中にゲームの仕組みを持ち込むことです。

 たとえば、消防士のシリアスゲームと、ゲーミフィケーションがあった場合

[ シリアスゲームの例 ]
消防隊の一員となって、ニューヨークの地下鉄駅構内で有毒ガスが撒かれた状況をどうにかするようなゲームなど。こういったゲームをプレイすることで、消防士としての訓練になる、といった効果が見込まれる。(※実際に『ハズマット:ホットゾーン』というシリアスゲームがあります)

[ ゲーミフィケーションの例 ] 
消防隊の日常業務のなかに、うまくポイント制や対戦などで競技性をもちこんで消防士が日常業務を楽しめるようにしたりするようにすること。

 ということになります。
 シリアスゲームのほうがどちらかというと仮想空間をベースに行動をして、そこで得たものを現実空間に還元していくものだとすれば、ゲーミフィケーションは現実空間の行動をベースとして、仮想のポイントなどをその感覚にミックスしていくようなものです。
 今放映されている、爆問学問では、この二つは区別されていないようですが、まあ世間的には「シリアスゲーム」も「ゲーミフィケーション」もマイナーなので、こういう紹介でも、まあいいかな、とは思います。
 ただ、なぜ、私とかがこういう区分をするかというと、シリアスゲームの流れは、けっこう前(2000年代前半)からあるものですが、ゲーミフィケーションの話は、2010年から言われ始め2011年からバズった言葉です。
 で、2000年代前半からある流れと、2010年あたりからはじまった潮流は、やっぱり全く別のことを起源としているし、面白さの方向性もちょっと違うのですね。この区別をしないと、今になってどうして「ゲーミフィケーション」ということ新しい潮流として論じるのかが、ちょっとよくわからなくなるので、なるべく区別をしています。
 詳しい話は、本で!

井上明人ゲーミフィケーション』(NHK出版)
http://www.amazon.co.jp/dp/4140815167