Critique of Games メモと寸評

主に研究関連のメモ(井上明人/ゲーム研究)

遊びの余剰エネルギー説として知られるスペンサーの著作はどれなのか。

<スペンサーについて>

スペンサーはWikipediaに長い記事が書かれているとおり、当時の有名人で、ダーウィン進化論を「適者生存」と言い換え、幅広い学術分野に、進化論の影響を波及させた人物であり、シャラー、ラツァルス、コロッツァなどを経由してK.Groosの準備説にも影響を与えていると見てよかろう。

ダーウィンの影響によって書かれていたスペンサーの業績とならんで、カント美学の影響のによって書かれたシラーの著作(Friedrich von Schiller ,1795, On the aesthetic education of man)とセットで、19世紀後半の遊び論では「余剰エネルギー説」の人ということになっているが、冷静に考えるとダーウィン系列の議論と、カント系列の議論をまとめてしまうのはどうなんだ、という感じは正直あるが、まあ、そうなってしまった。グロース以前に多分、コロッツァあたりですでに、そういったまとめになっているようなので、コロッツァより前の人の責任がでかそうである。グロースの記述を信じるならば、スペンサーがシラーに直接の影響をうけたと見られる記述があるとのことだが、グロースの記述は、どの著作のどの箇所か、引用元がよくわからない

 

 

<問題の文献はどれなのか>

最初に該当するのは下記の文献かという印象が強い。スペンサーが1903年におなくなりになっているので、さすがに著作権切れてパブリックドメインになっているため、オンラインでフリーで読める。

Herbert Spencer, 1855, Principles of psychology.. New York: Appleton.

https://oll.libertyfund.org/titles/spencer-the-principles-of-psychology-1855

 

ただ、

origin of music

https://www.jstor.org/stable/2247370?seq=14

など、いくつか引用先がまたがっている。