Critique of Games メモと寸評

http://www.critiqueofgames.net の人のブログです。あんまり更新しません。

昨日の補足

こちらに、「井上がここ2年ぐらい考えていた話のさわり」というビデオを公開しております。(そのうち消すかも)
http://www.ustream.tv/recorded/10608941
twitter コメント:http://togetter.com/li/65760

昨日は、USTREAM公開自体は、ネット上では広報をほとんどせずにやったため、「見つけられなかった」等メールいただいたみなさま、誠に申し訳ありませんでした。次回は、12月11日の夕方から、石岡良治さんの話を聞きながら議論するといった形を予定しております。

さて、それと、昨日はもうちょっと踏み込んで話したいところがいくつかあったのですが、今ひとつ伝わらなかった感触のところも多々ありましたので数点補足しておきます。

1.Narrativeの成立要件の「条件定義」をしたいわけではなく、むしろ、成立プロセスがそもそもどういうものであるかを捉えたい

 「とりかえしのつかなさ」とかがNarrativeの条件定義であるかのような聞こえ方になってしまっていた箇所があったかと思いますが、そういう条件定義は比較的どうでもいいと思っています。
 何かしらの現象がNarrativeとして機能するというプロセスの一部には、「とりかえしのつかなさ」みたいなことが機能することもあるでしょうし、それは重要な要素の一部だとは思うのですが、強調したかったことはどちらかというと、「後付け的な認知」とかのプロセスを通じて、何かしらのものごとがNarrativityをもった出来事として「認定」されるプロセスというのがありますよね、と。
 昔は、その認定プロセスをもたらす上で重要なのは、事件が主観的な問題としてではなく、間主観的に成立している認識として認定されていたり、「書かれること」が重要なのではないか、みたいなことをぼやいていました。

 まあ、ただ、僕の弱点&わかりにくいところは、興味関心としては認知プロセスに関心をもちつつも実際の道具立てとしては実験とかを使うわけではないため、どっちの話をしてるんだ、ということが聞いている方にも誤解を与えるのか、と思っております。

REF1:下條信輔『サブリミナルマインド』*1

REF2:井上明人「ゲームと物語のスイッチ」『Planet's vol.7』(2010)所収*2

2.一本道シナリオ vs Sandbox Game(「自由度の高いゲーム」) の対立という話では全くありません

 どうも『Oblivion』をディスったときに、「JRPG信者 乙w」的な反応がいささかあったようなのですが、『ガンパレードマーチ』の話はJRPG(FF,DQ)の話とはぜんぜん違います。そういう反応をしてしまう方がいらっしゃるのはわからなくはないのですが、しかし……そうは言っても、インターネットにすら触れたことのないご老人にむかって必死で電子書籍の話をしているような、戸惑いと徒労感を覚えてしまう、というのが率直なところです。
 『ガンパレードマーチ』は今ならPS3オンラインストアで600円でダウンロードできますので、ぜひプレイしていただきたく。

 むしろ「一本道シナリオ云々みたいな問題枠組み自体で考えること自体が筋悪だろう」というのが昨日の話で言いたいことの一つでした。

 REF:「物語自動生成」http://www.critiqueofgames.net/data/index.php?%CA%AA%B8%EC%BC%AB%C6%B0%C0%B8%C0%AE

*1:http://www.jst.go.jp/erato/evaluation/20100621-2/shimojo.pdf 「下條総括は『サブリミナルマインド』等の著書の中で「人間の意思決定が、新奇性や親近性のような比較的単純な事柄で左右され、時間的には意思決定の後で選好の理由付けが行われる場合があるだろう」と提唱してきた。本グループの研究では、この洞察を裏付ける多くの事例を見出すと共に、意思決定後に選好理由の後付けをする事を示す証拠を得た。選好の自覚的決定以前に行われている潜在脳の働きについては、新奇性/親近性という一見相反する2つの要素が、相互排他的ではなく相補的にかかわっているという証拠を得ると共に、プレディクティブ(予測的)/ポストディクティブ(理由の後付け)という2つの過程も相補的に関わることを明らかにした。」

*2:http://wakusei2nd.com/?page_id=19