Critique of Games メモと寸評

http://www.critiqueofgames.net の人のブログです。あんまり更新しません。

積ん読ゆっくり消化中:松岡 亮二,2019『教育格差』ちくま新書など

 

昨年度の予算リミットがあと1時間で2000円ぐらい余っていたときに、生協で買った新書2冊。パラパラ読んでる。いずれも、かなり評判のよかった本だけあってすばらしい。「流行りの新書だから買う」というタイプの購買行動はあまりやらないので、こういうのもたまには良いなと思った。

 

松岡 亮二,2019『教育格差』ちくま新書

山口慎太郎,2019『「家族の幸せ」の経済学』光文社新書

 

 こまかな、感想については、専門の人が書いているだろうから、個別の論点については書かないが、すげーなと思うのが、RCTや統計的因果推論のようなものを社会科学の研究でやっていこうという感覚がもう完全に標準的になっているよな、という感覚が計量系の社会科学の人にはもうすっかりと浸透したよなあ、というのを改めて感じた。

 もちろん、どちらの本も読者として想定されるのは、一般読者層なので、データとして示されているのは、記述統計的なものや、比較的簡単な散布図ぐらいでとどめているところが多い。一方で、介入効果や、因果推論についてもところどころで論じられている。もっとも、RCT的な調査計画を社会科学でやるというのはそもそも大変なので、RCTがスタンダードになるということは、まだまだ遠い道のりがあるとは思うものの、DIDとか、RDDみたいな話は、すごい勢いで普及しつつあるよなあと改めて感じる。

 

2017年に書かれて、昨年出版された、プリンストン大の学部生むけの教科書である今井耕介『社会科学のためのデータ分析入門』(岩波書店、2018)(=Imai, K. (2018). Quantitative social science: An introduction. Princeton University Press.)とかでも、DIDとかが当然のようにさらっと書かれていてすごいよなあ、と思う。