Critique of Games メモと寸評

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石田・東(2019)『新記号論』メモ

読みつつ更新。特に自分にとって新規性の強かった部分だけのメモです。

記号論脳科学

Changizi, M. A., Zhang, Q., Ye, H., & Shimojo, S. (2006). The structures of letters and symbols throughout human history are selected to match those found in objects in natural scenes. The American Naturalist, 167(5), E117-E139.

  • アブストから、DEEPL訳出:
    • "文字体系、漢文、非言語的記号の間でこれらの構成タイプの相対頻度を調査した。その結果、これら3種類の視覚的記号は、その配置分布において類似の特徴を有しており、人間の視覚的記号の形状を支配する基本的な原理が存在することが示唆された。第二に、視覚的サインの形状は、運動系を犠牲にして見やすいように選択されているという証拠を提供する。最後に、視覚的サインは、自然なシーンに見られるような輪郭の集まりに一致するように文化的に選択されてきた、なぜならそれが人間の視覚的処理に適した進化を遂げたからだという生態学的仮説を支持する証拠を提供する。"自然界のパターンと、文字のパターンの出現頻度が概ね対応していることを示している。
  • 人間の読み書きしている文字が同じ起源をもっているのではないかという観点から、本稿への言及がある。

Changizi, M. (2011). Harnessed: How language and music mimicked nature and transformed ape to man. BenBella Books, Inc.. 邦題:〈脳と文明〉の暗号: 言語と音楽、驚異の起源

  • 物理的な本が空間的な広がりをもった記憶の構築体であるといった話など

 

スタニスラス・ドゥアンヌ Dehaene, S. (2009). Reading in the brain. New York. 

https://www.amazon.co.jp/Reading-Brain-New-Science-Read/dp/0143118056

  • ニューロンリサイクル仮説の話らしい。自然界における空間識別の認知モジュールを転用して文字を読んでいるのではないか的な話っぽい。

サッケイド運動(眼球の飛躍運動)

  • 文字を連続的なものではなく、離散的なものとして処理しているのではないかという話の傍証として引き合いにだされる。石田は、これをデリダ差延 differanceと関連付けている。

メアリアン・ウルフ、小松訳(2007=2008)『プルーストイカ

  • 本が可能にするDeep Readingに関する説明。オンライン・マルチタスクをやっていると深い思考ができなくなる的な話。
  • ニコラス・カー,2010,The Shallowsなどでも引用され、非常に影響力のある話

Hayles, N. K. (2007). Hyper and deep attention: The generational divide in cognitive modes. Profession, 187-199.

  • ハイパー and ディープで、分かれる認知の2つのモードについての話

 

 

 

フロイトへの回帰

  • フロイトの不思議メモ帳(マジックパットの話)、1920,1923:不思議メモ帳の多層構造と意識のレイヤーが、アナロジー的に近いという話
  • フロイト、1930、『文化の中の居心地悪さ』:道具によって拡張された能力をもったものとしての人間
    • ※p107でちょっと言及される精神療法についての石田さんによる認識は、近年のCBTとかの状況を見ると、ちょっとこういうコメントにはなりにくいかな、とは思った。

 

書き込みの体制2000

 

ハイパーコントロール社会について